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日本鬼子 [雑談]

中国人が反日デモをする際、日本人への蔑称である日本鬼子(りーべんぐいず)という語をよく使います。最近、日本のオタクの間ではそれを逆手にとり、日本鬼子(ひのもとおにこ)という萌えキャラを作ろうという動きがあるようです。日本鬼子とシュプレヒコールを上げる中国人を見た人たちがその言葉をググると、萌えキャラがたくさん出てくるという仕掛けです。ただその多くはイラストであり、ストーリーの提案はほとんどないようですので、僭越ながら私が作ってみました。


昔々、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。おばあさんが洗濯をしていると、川上からどんぶらこ、どんぶらこ、と桃が流れてきました。おばあさんがその桃を家に持って帰って割ると、中から元気な男の子が出てきました。
桃太郎と名づけられた男の子はやがて逞しく心優しい青年へと成長しました。剣の腕は日本一。そして動物たちと会話できる不思議な能力を持っていました。ある時、人々を苦しめる鬼の話を聞いた桃太郎は、その征伐に出かけます。動物たちにも助けを求め、サル、犬、キジの3匹を連れて鬼たちを退治しました。
その後、桃太郎は鬼たちの頭領の長女である美しい娘と恋に落ちて結婚し、村の少年たちに剣道を教える道場を開きました。そして自らを日本(ひのもと)桃太郎と名乗り、末永く幸せにすごしました。

そして時は流れ、数百年。
日本鬼子(ひのもとおにこ)は女子高に通う高校2年生である。父親は日本(ひのもと)流剣道の師範である日本栗太郎(ひのもとくりたろう)。厳しい父と優しい母、そして妹思いで大学生の兄・柿太郎(かきたろう)と4人で暮らす鬼子には、とある秘密があった。それは動物たちと会話できる不思議な能力を持っていること。そのためか高校の生物部で部長を務め、普段は眼鏡をかけて図書室で調べ物をするような少女だった。小学6年生までは父親から剣道を教わったものの、興味が持てず、いつしか道場から足が遠のいていた。
鬼子には幼少時の原体験があった。日本流剣道の筆頭弟子(と言っても鬼子の父より年上)でよく鬼子の遊び相手となってくれた千鶴外夫(せんかくそとお)と海へ遊びに行ったとき、沖合いでボートが沈み溺れている中国人の少年を千鶴が助けたことである。日本語を話せない少年は中国語で感謝の手紙を書き、千鶴に贈った。「多謝」と書かれた手紙を受け取った千鶴が少し照れながら「お嬢さん、心優しい女性になって下さい」と言ったのを、鬼子は今でも覚えている。
そんなある日、父・栗太郎が闇討ちにあい、右手を負傷する。それを見計らったかのように中国拳法の使い手で棍の達人である少年が道場破りに現れ、異種格闘技戦を申し込んだ。鬼子とさほど年齢も違わないその少年に、鬼子は見覚えがあった。昔、千鶴が救った少年だったのである。少年は自分が勝ったら一族が営む地上げ屋に道場を売り渡すことを要求した。試合は1ヵ月後。日本流剣道を罵倒する少年の挑発に乗ってしまった兄・柿太郎がその申し出を受けるが、翌日、兄も何者かによって闇討ちされ負傷してしまった。だが取り決めでは、日本(ひのもと)家の誰かが試合をしなければいけないことになっていた。
日本流剣道の看板に思い入れがあったわけではないが、このままでは思い出の詰まった家と道場を手放さないといけない。そう思った鬼子は自分が試合に出る決意をし、5年ぶりに道場に立った。練習相手は筆頭弟子の千鶴である。本気を出した鬼子はその天賦の才を発揮し、5年間の遅れを取り戻すかのようにみるみる上達していった。かつて鬼子の父と兄にも剣の指南をしたという千鶴は、その成長を心から喜んでいた。
試合前日、いつものように庭先で小鳥たちと話していた鬼子は、あの少年が父と兄を闇討ちする現場を近所の猫が目撃したことを知った。鬼子は思わず怒りで我を忘れ、険しい表情で道場に駆け戻って素振りを始めた。いつもとは違う鬼子の形相に道場生たちは言葉を失ったが、やがてそこに千鶴が現れて静かに語った。
「何か辛いことがありましたか? お嬢さんには心優しい日本一の剣道家と、その男性を愛した鬼の血が流れています。でも怒りに我を忘れて鬼の血を呼び覚ましてはいけません。日本流剣道の代表として恥ずかしくない試合をしてください。その結果試合に負けたとしても、私はお嬢さんを誇りに思いますよ」
そして試合当日。少年は鬼子の足元に痰を吐いて挑発してきたが、鬼子はそれに動じず冷静に試合を運んだ。だが少年の腕も然るものであり、なかなか勝機が見えない。その時、突然道場の入り口から一羽のキジが舞い込んで鬼子に話しかけた。
「鬼子、私の創った日本流剣道のためによく頑張ってくれた。ありがとう。お前に少しの間だけ私と妻の力を貸そう」
次の瞬間、急に少年の動きがスローに見えるようになった。これなら勝てる、そう思ったとき、鬼子の竹刀は少年の棍を振り払っていた。試合を見守っていた道場生たちが一斉に歓喜の声を上げた。少年はばつが悪そうに鬼子をにらみ、引き上げていった。
そしてその日以来、鬼子は動物たちと話すことができなくなった。きっとあの一瞬で能力を使い切ってしまったのだろう。でもその結果、自分が守りたいものを守れたのだから後悔はない。通学途中、そんなことを考えながら空を見上げた鬼子の顔に幸せそうな笑みがこぼれた。


日本人なら誰でも知るあの桃太郎の子孫で、メガネの似合う心優しいJK。でも鬼の血も流れる激情家で剣の達人。日本鬼子のキャラ設定と萌えの定石は守ったつもりです。かつて尖閣諸島の住人が難破した中国の漁船を助け、中華民国から感謝状を贈られたエピソードも何となく交えてみました。こんな設定の日本鬼子作品ができ、白人のオタクたちが日本鬼子のコスプレをするようになったら、中国人たちはどんな目でそれを見るのでしょう?
ちょっとそんなことを考えてしまいましたが、私としてはこれ以上深入りして目立つつもりはないので、このストーリーに対する著作権は放棄します。どなたか有志の方、hmdknsk@hotmail.comまでご一報いただき、作品化していただけければ幸いです。
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