昨今の医療崩壊について:The 旅行道:So-netブログ
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昨今の医療崩壊について [雑談]

最初、「高崎・水戸旅行記」の一部として公開した文章です。
一般の方にはどちらかと言えば面白くない内容でしょうが、故あって単体で公開してみることにしました。私の知る海外の医療事情については「旅行医学」の項をご覧下さい。
http://ryokodo.blog.so-net.ne.jp/2009-12-16-1


私見としてはやはり日本の患者さんは非常に恵まれていると思います。
世界各国の医療事情を知れば「安くて良質な日本の医療は世界一ィィィ」ということになるのですが、まだまだ日本にはそれに飽き足らない人たちが大勢います。
最近、救急車の受け入れ先が決まらない事例がしばしばニュースで取り上げられますが、私はその原因が患者サイドの過度な要求にあると思っています。昭和の時代なら専門外の患者でもとりあえず受け入れ、その医療施設なりにやるべきことをやったけど助からなかった場合、家族が医師に「ありがとうございました」と涙ながらにお礼を言ってそれで終わりでした。しかし近年はそのような場合「十分な医療体制がないのに受け入れて、他の医療機関でもっと良い医療行為を受ける機会を奪った」と言い出す人が現れ、裁判でもそのようなケースで病院側に賠償金支払いを命じる判決が出るようになりました。この結果、医師は以前なら受けていた専門外の患者を断らなければいけない土壌ができたのです。
「救急患者をすべて受け入れろ」と「受け入れた患者に最高の医療をしろ」は現状のままでは両立しませんし、もしそれを求めるなら今より遥かに多くの医療スタッフや設備を育成、配備するために国民が支払う健康保険料と自費負担分を何倍にも値上げする必要があります。
「今以上に何かを求めるなら、その代わり別の何かを諦めないといけない」
それを理解せず、自分の負担はそのままで医療者により多くを求める人が増えたのが「医療崩壊」の一因だと思っています。先日も救急車の受け入れ先が見つからず亡くなった方の旦那さんが「こんな過ちを繰り返してはいけない」とコメントしていましたが、これを医療者側だけの過ちだと決めつける以上、決して状況は改善しないでしょう。
一時期はマスコミでも「たらい回し」と呼んで、かなり医者を叩いていましたね。これを真に受けた人たちが更に厳しい目を向けるようになり、医師は更に自分の専門外を断らなければいけなくなり・・・。
医療崩壊は医師を叩けば叩くほど進行します。私はこの現状が童話「太陽と北風」の北風に似ている気がします。旅人が着ているコートを北風が力ずくで吹き飛ばそうとした結果、寒さのあまり旅人はますますコートをしっかりと着込んでしまうのです。太陽が暖かく照らせば、暑くなった旅人はコートを脱ぐのですけどね。
今の日本には、まだまだ力ずくで旅人のコートをはぎ取ろうとする人たちが大勢いる気がします。
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毎留

ヒロ様、niceを頂き本当にありがとうございました。
正直、医療関係者以外には耳に優しくない内容であり、炎上することも覚悟で公開したため、100%総スカンをくうわけではないことを知ってほっとしました。
我々医師の多くは決して悪人ではないと思っていますが、自分自身が十字架に貼り付けられてまでも他者を救うほどの高邁な思想を持った救世主でもありません。
私自身は単なる旅好きの一般人です。
by 毎留 (2010-04-20 00:02) 

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