台北旅行記(09年12月):The 旅行道:So-netブログ
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台北旅行記(09年12月) [海外旅行記]

台北というと思い出すエピソードがあります。
初めての台北旅行で、現地ガイドからなぜ台湾に来たのか聞かれた私はこう答えました。
「北京で見た故宮が素晴らしかったので故宮博物院にも来たいと思って」
本当に素直な一言だったのですが、それを聞いたガイドが突然「こっち(故宮博物院)の方が凄いんです」と叫びました。きっと台湾人としてのプライドに触れたのでしょう。台湾と中国の間に存在する微妙な問題を改めて感じました。確かに故宮博物院の収蔵物は手間隙のかかり方と言う点で世界一だと思いますが、故宮の広大な建造物にも別の素晴らしさがあるんですよ。
ところで台湾人は大きく3種類に分けられるそうです。原住民(いくつかの少数民族)、中世に広州から渡航して台湾に住み着いた人たち、中国国民党政府とともに台湾にやってきた国民党の支配層。
先のガイドはきっと国民党支配層の子弟だったのでしょう。一方、2回目に来た時のガイドからはこう聞きました。「戦前の日本は威張っているが約束はきちんと守ってくれた。しかしその後中国本土からやってきた中国国民党は約束も守らないし自分勝手で無茶苦茶。だから今でも日本統治時代を懐かしみ、親日の人が多い」きっとこの人は中国国民党がやってくる前から台湾に住んでいた人たちの末裔なのでしょう。
そんな繊細な問題を抱える台湾ですが、旅行の難易度はかなり低めです。治安もいいし、英語か日本語がたいてい通じるし、中国本土と比べてお行儀が良いのです。
台湾人は中国人と違って飛行機のシートベルトサインがついたらシートベルトを着用します。地上走行中の機内で携帯電話を使いません。トイレをきれいに使います。道端に痰を吐く人はほとんどいません。行列は1列に並びますし、地下鉄では降りてくる人を待って乗りこみます。また空気がきれいで、街中を歩いても喉が痛くなりません。先月、先々月と中国に行ってきたので、日本人にとっては当たり前であるはずのことがとても新鮮でした。

さて、旅行の話です。今回は私にとって5回目の台北旅行でした。2泊3日の日程でしたが、台北101と故宮博物院には何度か行ったため、今回は郊外観光を主体にすることにしました。
そんなわけで今回は行っていない台北101ですが、他の高層ビルとの比較で少しだけ触れておきます。台北101のエレベーターは日本製で世界最速のものが使われています。上りは時速60キロ、下りは時速36キロです。下りのほうが遅いのは、人間の耳は気圧低下よりも上昇時に痛くなりやすいからだと思います。展望台の高さも現時点で世界一だったと思います。しかし周りの景色が土色にかすんだ低層の建物ばかりなので、景観という点では今一つです。近くに似た高さの建物(金茂ビルやテレビ塔)がある上海ヒルズや、湖と高層ビル群とのコントラストが美しいシカゴのシアーズタワー、高速道路のライトアップがきれいなバンコクのバイヨークスカイ、湾岸の景色が楽しめる高雄85ビルや横浜のランドマークタワー、シンガポールのウエスティンスタンフォードの方が良い写真が取れるでしょう。クアラルンプールのペトロナスツインンタワーやドバイのブルジュドバイは現在のところ一般人に最上階を開放していませんので、私も見上げたことしかありませんが、もしブルジュドバイが完成したら周りの地形を考えた場合にかなり美しい景観が楽しめるものと思います。

さあ、また脱線しましたが旅行の話に戻ります。12月18日昼過ぎに台北桃園国際空港に到着した私は、まず両替をしました。1万円で3460元です。大有バス(90元)でアンバサダーホテルに向かい、そのすぐそばにある新仕ホテルにチェックインしました。朝食付き1泊1880元で、2泊分をJALカードで払いました。私がホテル予約の時に気をつけること、それは立地です。高級ホテルに泊まるのが旅の目的ということもあり、その場合は気にしないのですが、観光主体でホテルは寝るだけという場合は空港からのアクセル、市内観光地へのアクセスを非常に重視しています。今回も空港からバス1本で、MRT駅まで徒歩1~2分という交通条件でこのホテルを選びました。皆さんも(特に子連れや老人同伴のときは)立地を優先してホテルを探してください。
荷物を置いてホテルからすぐそばのMRT(地下鉄)駅へ。そこから台北駅に行き、台北駅で烏来(ウーライ)行きのバスに乗り換えました。台北駅から烏来へはバスで80分70元ですが、MRT新店線で新店まで行き、駅前から烏来行きのバスに乗り換えた方が所要時間を30分ほど短縮できます。
烏来は台北の南の丘陵地に位置し、少数民族が住んでいる村です。山間の集落を進んでいくと、川に面した崖に寄り添うように建つ古い家屋が見えてきます。千と千尋の神隠しのモデルになったという不思議なノスタルジーを感じさせる景色です。
今回は到着が遅かったため見られませんでしたが、午前と午後に民族舞踊ショーもやっています(以前見ましたが、まあまあです)。またこのあたりは温泉地としても有名であり、至るところに入浴施設を見かけます。私は烏来瀑布という台湾最大の滝を見て、その正面にある烏来族料理のレストランで民族料理の夕食を食べました。豚肉のぶっ掛けご飯みたいな料理で70元でした。観光地のため物価が高いと言われる烏来ですが、奥まで入れば比較的安くなります。その後はジェットバス付きの個室温泉に入浴(1時間150元)し、台北のホテルに帰ってきました。
翌19日は朝7時半にホテルを出発し、MRTで忠孝復興駅へ。そこから金瓜石行きのバス(90元)に乗り換えて、九イ分に行きました。九イ分は元々山の斜面に立つ九戸の小さな集落だったのですが、今では土産物屋が並ぶ観光地となっています。そこを1時間ほど散策し、バスで忠孝復興駅に戻ってきました。その後、小龍包で有名な鼎泰豊(ディンタイフォン)の忠孝店に行きましたが、正午過ぎという時間帯であったため大行列。あきらめて近くの地下食堂で昼食を済ませ、MRTで淡水に向かいました。淡水は台北の北、淡水河の河口にある屋台街です。そこでトルコアイスや中国ウイグル族料理である羊の串焼きなどを食べ、MRTで新北投に向かいました。北投は温泉街として有名です。戦前に日本人が建てた温泉施設を博物館として再利用した温泉博物館(入場無料)、そして北投温泉親水公園という公共の露天風呂(40元)に行きました。この露天風呂は水着着用で入る男女混浴であり、私はそこに行くつもりで最初から水着を持参したのですが、非常に混みあっていてロッカーや更衣室も屋外にあるため、一度行けば十分だと思いました。入浴後はスーパーで豚の腸詰と台湾ビールを買って夜の公園で一人酒盛りをし、その後吉野屋に入りました。もちろん牛丼はどこの国でも共通なのですが、中国本土や台湾ではこの他に中華風の鳥丼があります。また香港では牛丼ヌードルがあったりします。そういうちょっとした違いを見つけるのが好きなのです。ちなみに牛丼並は90元でした。
その後一度ホテルに戻り、ホテル近くにあるタイペイアイという劇場に京劇を見に行きました(880元)。私はこれまでカンボジア、マレーシア、シンガポール、タイ、ミャンマー、ラオス、スリランカ、ペルー、フィリピン、インドネシア、ギリシャ、昆明で民族舞踊を、ベトナムで水上人形劇を、エジプトでベリーダンスを、上海で雑技を、深せんで音と光とダンスのショーを、北京で京劇を見たことがありますが、その中でもここはかなりのお勧めです(ちなみに個人的にはバリ島のケチャックダンスが一番好きです)。前半は臓腑に響く太鼓の大音響の中、獅子舞が高い棒の上をアクロバティックに飛び回っていました。後半は西遊記を題材にした京劇ですが、日本語字幕もあり、孫悟空の戦闘シーンではやはりかなりの体さばきを披露してくれました。その後、士林夜市を少し覗いてホテルへ戻りました。夜市の盛況を見るのは楽しいのですが、個人的には欲しい品物や食指をそそられる料理が少ないため、雰囲気を感じるだけでした。
翌20日は、前日に盛りだくさんの観光をしたためこれ以上行きたいところもなく、台北駅舎、二二八和平公園、国立台湾博物館、中山記念堂、総督府、龍山寺など市内の狭い範囲を少し見て歩いただけでした。なお士烈祠や中山記念堂には衛兵がいます。この衛兵が銅像のように微塵たりとも動かず、また衛兵交代式の時には(少し女々しい物腰ですが)統制の取れた動きを見せてくれます(その代わり衛兵を見張る人が傍にいて、襟や銃の位置を直したりしているわけですが)。動かざること、板門店の韓国側兵士の如し、統制の取れていること、イギリス・ウインザー城の衛兵の如し、と言ったところでしょうか。タイの王宮にいる兵士は少しだらけているようにも見えますし、東京の上野公園でその手の真似事をしている集団を見たときには目を覆いたくなりましたが、それとは明らかに別次元です。
この間、昼食のため11時過ぎに鼎泰豊に行き、小龍包(10個で198元)を食べてきました。前日のリベンジと言ったところです。個人的には全聚徳(北京)の北京ダックと鼎泰豊の小龍包は何度食べに行っても幸せになれますね。観光後はホテルに預けていた荷物を受け取り、行きと同じ大有バスで桃園国際空港に向かいました。空港ではプライオリティパスでMore Premium Lounge に入り、ワインを飲んだりおでんを食べたりして時間をつぶしました。

これが今回の台北旅行です。どうでしょう? 少しは皆さんの旅行に役立つ情報が入っていたでしょうか?
なお、来月は中国の瀋陽に行き、北朝鮮出資の七宝山ホテルに泊まります。レストランで北朝鮮の料理を食べたり、ピョンヤン出身の接待員と話をしたり(私は日本語と英語しか話せないので会話できるか不明ですが)、朝鮮中央放送を部屋のテレビで見たりできるそうです。北朝鮮本土に行く予定はないため、ここで少しでも北朝鮮気分を味わってきます。
それではまた。
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