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成田離婚はなぜ起こる? [雑談]

製薬会社には医師に医薬品情報を提供する職種であるMRと呼ばれる人たちがいます。医局前に各社MRが並び、白衣を着てその前を通と「お疲れ様です」と会釈されるため、学生の頃は慣れずにとまどったものです。このMRという職業、医師の機嫌を伺いながら自社製品を売り込むのが仕事であるため、担当のMRが交代する場合には、後任者に対して医師の趣味、嗜好、治療に対する考え方などが申し送りされているようです。もちろん私の場合は「旅行好き」と申し送りされているようであり、
「私も旅行が好きなんですよ」(その人が最後に海外旅行に出かけたのは10年前)、
「年末年始はどこに行かれたんですか?」(私は年末年始のようなハイシーズンには旅行に行きません)
とMRから話を振られることがあります。
向こうは彼らなりに話の糸口を見つけたいのでしょうが、私の方は返答しにくい話題を突然振られると、その日そのMRとは話す元気がなくなったりします。旅行の話であれば何でも盛り上がれるわけではありません。
そんなときに感じるのですが、旅行とはかなり各個人の嗜好、ポリシーによってスタイルが変わるものなのです。この世の中に正しい海外旅行、間違った海外旅行という万人共通の答えはなく、100人いれば100タイプの旅行があるのだと思います。
私のスタイルは、年1回の大型旅行を除けば3~4日間の短期ばかりであり、綿密に下調べして世界遺産、文化、風習、国民性、食事、ホテルなどを観察してくるものです。同じ内容ならできるだけ安く切り詰めるため、航空券入手に各種ノウハウを駆使したり、公共交通機関を使ったり、英語ガイドのツアーに参加したり、いわば情報戦を楽しむタイプであり、現地にはその情報を確認しに行くだけと言っても良いかもしれません。
ですから同じ旅行好きと言っても、バックパッカーや、パックツアー専門で現地ガイドがいないと一歩も動けない人には、あまり親近感が湧きません。どちらかというと、自分とは趣味や生き方が異なる別世界の人たちと言う認識です。
周りの人からお勧めの旅行プランを聞かれることがありますが、私のお気に入りは必ずしも相手にとってのお勧めではないので、予算、嗜好、旅行スタイルなどを聞かないと答えられません。逆にそれが分かっていれば、いくつかのプランがすぐに頭の中で組み立てられるのですけどね。
患者さんから症状を聞いて、確認すべき他の症状、鑑別疾患、必要な検査などをすぐに頭の中で組み立てるというのが私の仕事ですから、相手の予算、嗜好、旅行スタイルを聞いてそれにあったプランをすぐに組み立てるというのは、普段の作業ととてもよく似ています。どちらも頭の中でできるだけ沢山用意した選択肢に検索をかけて絞り込んでいく作業なのです。
と、ここまで個人によって旅行の嗜好には色々と差があることを話しました。そんなわけで私は成田離婚という言葉には、(離婚経験者ではありませんが)何となく頷くものがあります。
知人と旅行に出かけても、そこには同床異夢の世界が待っています。あまりプランを決めずに個人旅行に出かけると、現地での観光などで意見が分かれることはよくあります。たいていはお互いに強いこだわりがなければ譲歩し合って何とかなるのですが、ここで疲労が加わり、言葉や風習の違いから来るトラブルに巻き込まれたりすると、どうしてもケンカになりやすくなります。
普段日常生活で一緒にいる分には仲が良かった男女が結婚し、新婚旅行に出かけた先で摩擦を起こし、成田に帰国した途端に離婚を決める「成田離婚」という言葉が流行ったのはもう何十年も前。でも、これは人によって旅行の嗜好が違うという普遍の真理を端的に表しただと思っています。
この成田離婚を避けるためには、全てお任せでガイド付きの団体パック旅行がお勧めです。現地でトラブルや嗜好の違いを気にせず、純粋に旅行だけを楽しめますし、周りの人たちの目もあって新婚早々ケンカするわけにも行きませんから。でもそれでは面白くないという人も多いでしょうから、やはり世の中には正しい新婚旅行などないという結論になるのですが。
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一押しの観光地、マチュピチュ [雑談]

私はよく「今まで行った中で一番良かったところは?」と聞かれますが、そのときは迷わず「マチュピチュ」と答えています。
 マチュピチュは南米ペルーにあるインカ帝国の遺跡ですが、以前NHK世界遺産シリーズのアンケート調査でも「行ってみたい世界遺産」で栄えある第1位に選ばれました。アンコールワット近くの遺跡タプロームと共に、天空の城ラピュタのモデルになったことでも有名です。今回は、多くの人が憧れるこの謎に満ちた遺跡とインカ文明について少し雑談にお付き合いください。
 インカ帝国の神話には、天地創造の神ビラコチャが登場します。詳しくは「ビラコチャ 白人」でググっていただきたいと思いますが、神話によると、あごひげを生やし、背の高い、白く長いローブをまとった白人のような姿をしていました(私はこれを読んで、ギリシャ神話に出てくる海神ポセイドンの姿を思い浮かべました)。異常気象で社会が混乱していた時代に現れ、人々に農業、建築学、医学を伝えました。またナスカ地方で見慣れぬ白人を恐れた村人が石を投げると、火炎放射器のような兵器でこれを凌ぎました(インドの叙事詩ラーマ・ヤナにも「光の矢」という武器が出てきます)。16世紀、スペイン人の侵略者がやってきたとき、インカの人々はこれをビラコチャの再来と思って歓迎しました。そのため、いとも簡単に征服されてしまったのです。
ビラコチャによってインカの地に伝えられたとされる文明は、その後、時代と共に経年劣化していきました。紀元前200年から紀元後800年のナスカ時代には、ナスカの地上絵を作り上げるほどの高度な文明を誇った前インカ文明ですが、その後インカ帝国時代には文字もなく、車輪もなく、先人の知恵の多くが失われていました。
突拍子もないことですが、一つだけこの不思議な経年劣化とビラコチャ神話を同時に説明する方法があります。遥か昔、大西洋(Atlantic Ocean)を超えて白人が高度な文明をインカの地に伝え、それが時代と共に失われていったと考えれば、すべてが矛盾しないのです。そして大西洋の超古代文明といえば、言わずと知れたアトランティス文明です。そこで、この文明に対する記述をギリシャの哲学者プラトンの著書「クリティアス」で見てみましょう。
紀元前22000年ごろ、アトランティスの地に空から降りてきた開祖ポセイドンが高度な文明を伝え、土着の娘と結婚して10人の子供をもうけました。その後、アトランティス王国はその子孫たちである10の王家と、優れた哲学者たちによって統治され、1万年に及ぶ繁栄を極めました。また、この文明には炎のように燦然と輝く「オリハルコン」という金属がありました。この金属の名前、一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか? ファンタジーRPGや漫画などで「地上で最も硬い金属」「最高の武器の材料」として登場する機会の多い金属ですが、原典はギリシャ時代の哲学者プラトンがアトランティス文明に存在した金属として記述しているのです。そのような高度な文明を誇ったアトランティスですが、紀元前12000年に洪水によって一夜のうちに海の藻屑と消えてしまいました。同様に、世界各地にはノアの箱舟など多くの洪水伝説があります。
ここから先は私の妄想ですが、遥か昔、異常気象によって地球全体の海面が急上昇し、それを多くの民族が伝承として後世に伝えたのかもしれません。その異常気象のときに南米の地に現れ、高度な文明を伝えたとされるビラコチャ。彼は海の底に沈んだアトランティス文明の生き残りだったのではないでしょうか? 多くの伝説は何らかの史実を含んでいるものです。伝説とされたトロイの木馬や中国夏王朝も、現在はその史跡が見つかり歴史的事実とされています。天照大神がお隠れになり地上が暗くなったと言う話も、卑弥呼の没年とされる年に皆既日食があったそうで、これがモデルになったという説があります。だとすれば、ビラコチャ神話が史実に基づく可能性も否定は出来ません。
さあ、現実に戻りましょう。マチュピチュは1911年にアメリカ人によって発見されました。15~16世紀に作られ、太陽を観測する場所であったとする説が有力なようです。急斜面の山の頂上付近に広がる石造りの廃墟であり、麓から見上げても見えないため、空中都市の別名があります。曇りの日には山の中腹に雲がかかり、雲の上に浮かぶ石造りの廃墟は正にラピュタそのものの姿になります。そしてこの遺跡には多くの謎があります。そこで使われた石には何トンという単位の大きなものもあり、それがかなり離れた山向こうから運ばれてきているのです。しかもマチュピチュ周囲の山々も、マチュピチュ同様に急な斜面を持っています。この条件下での巨石の運搬は現代技術をもってしても困難ですし、そもそも滅ぼされる直前のインカ文明には車輪すらありませんでした。この不思議をどう説明したらよいのでしょう? インカ人たちは超高度な輸送技術を隠し持っていたのでしょうか?
急な山道を麓からバスで登っていくと、そのミステリアスな遺跡は突然眼の前に現れます。多くの日本人が行ってみたいと憧れる石造りの廃墟。飛行機に24時間乗り、高山病の洗礼を受け、翌朝5時の電車に乗って標高3700メートルの山を越え、バスに乗り継いだ先にあるその遺跡は、インカと、そこに高度な文明を伝えたであろう何者かの息吹を感じる天空の神殿なのです。
今回は妄想全開でしたが、その方がきっとマチュピチュと出会ったときの感動は何倍にもなることでしょう。あなたもいつか行ってみませんか? もちろん前もって旅行医学認定医に高山病の予防薬を処方してもらうことをお勧めしますが。
(なお、現地には高山病予防のためのコカ茶という飲み物があります)
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