インド旅行記(11年1月):The 旅行道:So-netブログ
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インド旅行記(11年1月) [海外旅行記]

今回はインドに行ってきました。JALの3万マイルを使って特典航空券と引き替えたのですが、オフシーズンの少ないマイルで行ける時期に3連休を利用しての旅行なので、特典航空券の空席がすぐなくなることを見越して、去年の春先に申し込んでいました。
インドには13年前にも訪れたことがありますが、とにかく曲者です。インドを旅行中に下痢になったという体験談は数知れず、町中をウロウロしている犬は狂犬病かもしれません。タクシーに乗ればぼったくられ、更に違うホテルに連れて行かれ(客を連れて行くとホテルから運転手にキックバックがあるのです)、鉄道に乗ろうと思ったらそれを遮って無理矢理旅行会社に連れて行かれたりします。物売りは最初10ルピーと言っていた商品を、金を受け取った直後に10ドルに値上げし、結局商品も受け取れず10ルピー奪われ損になったというのは私自身の体験談です。インド人に写真撮影など頼もうものなら、カメラを物質にチップをふんだくられること請け合いですし、町中ですれ違いざまに相手がしゃがんで自分の靴に布でさっと触れ、靴磨きのチップを要求されたという話も聞いたことがあります。とにかく個人では市内移動もストレスフルな、旅行難易度の高い国です。
私は、海外旅行経験値の少なかった頃に10ルピーが10ドルに値上げされた一件が未だにトラウマになっているようで、今回はインド人とのバトルを避けて安全策に走りました。地球の歩き方に乗っているシゲタトラベル(http://www.yokosoindia.com/)にメールをして、空港からの送迎とホテル予約、2日目のタージマハールツアー、3日目の市内観光をすべてそちらで申し込みました。最初、私の拙い英語でメールしたところ、シゲタトラベルの代表者ラジェンダさんから非常にきれいな日本語で返信があったので、それ以降は日本語でメールをやりとりしました。空港からの送迎が1500円、ラジェンダさんの経営するコッテージ・イエス・プリーズ・ホテル(バストイレ付き、素泊まり)が1泊1800円×2泊、タージマハールへの英語ガイドのバスツアーが3000円、市内観光はプライベートで最後に空港まで送ってもらい3500円でした。本当はホテルに関してはもう少し良いところに泊まりたかったのですが、シゲタトラベルのツアーデスクもあるこのホテルに泊まり、リスクを避けることにしました。なお、ラジェンダさんからのメールには「空港からの送迎にはチップも含まれています。ダメ元でチップを要求する運転手が多いのですが、断っても大丈夫です」という趣旨のことが書かれていました。
持参薬は抗生剤を2種類、整腸剤、解熱鎮痛剤、胃薬(PPI)など。そのうち整腸剤は毎食後に服用することにしました。盗難も考慮してモンゴルにも持って行った古いノートパソコンを持って行くことにし、貴重品はズボンの内側、鍵をかけたリュック、普段使いの財布の3カ所に分けて入れ、健康面、犯罪面ともに気を使いました。

そして旅行出発日となる7日朝、セントレアから8時25分発の国内線で成田に向かい、ゴールドカードで入れるIASSラウンジで時間をつぶしてから、11時半発のデリー行きに搭乗しました。デリーまでのフライトは偏西風の影響を受け、行きは10時間かかります。機内では2回、機内食が出てきました。デリーのインドラガンジー国際空港には18時20分に到着しましたが、ダラダラとした入国審査で待たされ、18時50分にようやく迎えの人と会うことができました。到着して感じたのですが、どうも13年前とは雰囲気が違います。13年前はワキガと香辛料の混じった臭いが空港に充満していましたが、今回はきれいな空港ビルに変わっており、あの臭いもしません。ただ思ったよりも寒く、屋外では手袋にマフラーをつけた人たちが白い息を吐いていました。到着時のアナウンスでは気温は13度とのことでしたが、これは夕方の気温でしょう。
空港から1時間ほどかけて車で送ってもらい、ホテルに到着すると案の定チップを要求されましたが、ノーと断ってホテルにチェックインしました。フロント傍のブースにいるラジェンダさんに2万円渡し、ツアー代金を払った残額をインドルピー(以下R)に両替してもらいました。2円=1Rでした。部屋の衛生面はかなり辛く、枕やベッドのカバーにはシミがついていますし、トイレの便座をあげると糞便がついていました。エアコンもありません。
荷物を片付けなおした後、ホテル隣の売店でミネラルウォーター(2リットルで25R)を買い、ホテル対面のレストランでシシケバブ(135R)と薄手のパン(5R)を食べました。500R渡したところ、チップを上乗せされたのか、350Rのお釣りが帰ってきました。その後ホテルの部屋に戻ってシャワーを浴び、ジャンパーを含む手持ちの服をすべて着て、2枚のタオルケットにくるまって寝ましたが、途中寒さで何度か目が覚めました。

翌8日はタージマハール日帰りツアーです。5時15分にホテルまで迎えの車が来て、パニッカーズトラベル(http://www.panickerstravel.com/)へと連れて行かれました。そこで大型バスに乗り換えて、さあ出発です。50人乗りの大型バスがほぼ満席であり、私以外は全員インド人でした。
朝8時に朝食のため食堂に立ち寄りましたが、どうやらセルフサービスでツアー客用の専用メニューがあったようです。それを知らずに席に着いた私はウェイターのお薦めメニューを頼んでしまい、チキンオムレツとチキンサンドウィッチ2きれ、チャイにチップを上乗せされ、220R支払う羽目になりました。日本の物価と比べてもあまり安い感じがせず、まずはインド人に一敗です。
朝食後、再びバスに乗ってアグラに向かいましたが、車内ではインド映画の上映がありました。実はインドはハリウッドをも凌ぐ世界一の作成本数を誇る映画大国です。その特徴は、突然何の前触れもなく、主要登場人物がバックダンサーを従えて踊り出すというものです。ただ、英語と現地語が入り交じっているようであり、聞き取れたり、英語以外の言葉を話しているようであったり、今一つ視聴に苦しむところがありました。
午前11時、世界遺産アグラ城に到着しました。ここの入場料300Rはアシスタントガイドに車内で徴収されました。まだ誰がガイドで誰が同じツアー客か分からなかったので、自分がはぐれていないかドキドキしましたが、自分に話しかけてくれる人をガイドと認識してその人について行きました。まあ50人のツアーなので、大勢の集団について行けば何となくはぐれずに済む訳なのですが。ここはタージマハールを建造したシャー・ジャハーン皇帝が、そのあまりの建造費用のため、国の財政を傾けていまい、息子である王子に蜂起され、晩年を幽閉されて過ごした場所です。とても壮麗で美しい城でしたが、霧がかかっていて、本来ここから見えるはずのタージマハールは見られませんでした。
その後、土産物屋に立ち寄りましたが、日本人の私一人だけ別室に案内され、「政府保証の良質な」タージマハールの置物を勧められました。ここを ”No, thank you” でやり過ごし、初めてインド人相手に敗北しなかった満足感を味わえました。昼食はそこから徒歩で行けるホテルで摂りましたが、ツアー客専用の95Rのメニューを頼むことができました。ナンと薄手のパン、数種類のカレー、サラダ、ヨーグルトがついており、インドの物価の安さを感じることができました。
昼食後、午後2時過ぎに世界遺産タージマハールに到着し、そこからマイクロバスに乗り継いだ先にあるウエストゲートで午後3時半に再集合と言われました。チケット売り場に行くと、そこにいた男性が ”Come on ” と笑顔で話しかけてきます。私は長い行列の隣にある窓口で、待ち時間ゼロでチケット(750R)を購入できました。この男性は窓口のスタッフともツーカーの仲みたいで、どうもここの関係者のようです。男性はここの公認ガイドだと名乗り、475Rとガイド料の書かれた身分証を見せてくれました。その後、やはり長い行列ができている金属探知機を、この男性の案内で待ち時間ゼロで通ることができました。しかし私が持っていたパソコンを持ち込むことはできないと言われたため、戻ってロッカーに行く途中、ツアーのガイドと出会い、預かってもらうことにしました。再び男性の案内で待ち時間ゼロで金属探知機を通り、中に入って男性が説明を始めたところで、「申し訳ないが一人で見て回りたい」と申し出て、そこから一歩も動かず、料金交渉の末に200Rを払って別れました。この人がいなければ、フリータイム80分のうち30分は余分に取られていたでしょうから、その値段と割り切って入場するところまで男性の世話になった次第です。私にとっては十分に価値のある200Rでしたが、男性がこの値段であっさり引いたところを見ると、もう少し値切れたかもしれません。
13年ぶりに見るタージマハールは、やはり息をのむ美しさでした。イスラム建築の粋とも言うべきこの白亜の建造物は、シャー・ジャハーン皇帝がその妃の墓として建てた物です。その背後には川が流れ、本来ならその対岸に黒いタージマハールが建造され、そこに皇帝自身が埋葬され、白黒2つのタージマハールが橋で結ばれるはずでした。しかしたった一つのタージマハールを建造するために国家財政が傾いてしまい、前述の結果になった次第です。皇帝と妃の棺は、白いタージマハールの中に並んで安置されていました。タージマハールの四隅には尖塔が建てられていますが、これはそれぞれ本殿から離れるように傾いて建てられています。地震があっても本殿の方に倒れてこないように、そして下から見上げたときに目の錯覚で上の方が窄まって見えないようにするための配慮です。その両サイドには赤石で作られたモスクがありますが、こちらも本殿に劣らぬ美しい装飾が施されていました。予定より少し早い午後3時20分にウエストゲートに戻りましたが、どうやらそこではなくバスの方に集合場所が変わったようで、帰りは馬車に揺られて(10R)バスまで戻ってきました。
その後、シカンドラーと呼ばれるアクバル帝の墓所を車窓から見学し、マトュータに着いたのは夕方6時ごろでした。ここにはクリシュナを奉るヒンズー寺院が建っていますが、同じツアーのインド人たちが祈りをささげているので、何となく手をあわせるふりをして見学しました。時間限定でカーテンが下ろされると、そこにはクリシュナの像があり、僧侶たちが音楽を奏で、踊りながら祈っていました。宗教は違うのですが、建物の内装や音楽の旋律から、隣国スリランカにある仏歯寺を思い出しました。帰りのバスまでの道中、自分の息子とあまり年齢も違わない子供が絵葉書を売りに来ました。
「あなた、どこから来たの?」
「日本」
「いい国だね。絵葉書を買って」
そんな会話を英語で交わしましたが、ここで買ってしまうとインド人の物売りに負けっ放しになると思い、きっぱりと20回くらい断り続けました。
その後、バスはデリーに向けてひた走り、パニッカーズトラベルのオフィス前に着いたのは午後10時40分でした。ここから前日に教えてもらったラジェンダさんの携帯に電話し(国際ローミングできる機種を持っていく必要があります)、ホテルまでの迎えの車を呼びました。この料金もツアー代金3000円に含まれているようでした。ホテルに着いたのは午後11時であり、空腹でフラフラでした。ホテル対面のレストランは閉まっていたので、前日にミネラルウォーターを買った売店でカレーパン(?)2個を買いました。2つで45Rとのことでしたが、電子レンジで暖めてもらったら55Rになりました。

翌9日、朝7時半に起きてホテル対面にあるレストランに入りました。オムレツとトースト2枚、大きなパンケーキ、チャイを頼んで103Rであり、この時はチップを上乗せされることもありませんでした。
朝9時に英語を話せる運転手がタタモーターの小型車で迎えに来てくれ、私の希望する観光地を尋ねてくれました。巨大モスクのジャハー・マスジット(200R)、ムガール帝国の城であるラール・キラー(世界遺産、250R)、インド兵の慰霊碑であるインド門(無料)、国立博物館(300R)、ムガール帝国皇帝の墓所であるフマユーン廟(世界遺産、250R)、シティーウォークというショッピングモール、奴隷王朝のスルタンが建てたクトゥブ・ミナール(世界遺産250R)の順に見学し、最後に空港に送ってもらうことになりました。
最初の観光地であるジャハー・マスジットまでの道中は、オールドデリーと呼ばれる古い町並みがあります。ジャハー・マスジット自体は前日に見たタージマハール両脇のモスクと同じような意匠であったため、あまり印象には残りませんでした。ラール・キラーは巨大な赤い城壁に守られた城であり、城門だけでもかなりの大きさで見ごたえがあります。城内には色々な建物がありましたが、とりわけ貴賓謁見の間の装飾が見事でした。
次の観光地、インド門はパリの凱旋門をまねて建てられたものです。ここは厳重に警備され、内部の見学はできないため、遠景の写真を撮るだけで終わりました。それから国立博物館に行きましたが、1階にあるインドの芸術品のコレクションが圧巻です。鼻がすらりと伸びた仏像が多く、日本や中国の仏像と違い、モチーフが白人であることが分かります。ライオンの置物はメソポタミア文明を想起させますし、大理石の頭像はギリシャ彫刻を思い出させましたが、これらはいずれもガンダーラの作品とのことでした。その次に訪れたフマユーン廟は、単体で見れば世界遺産の名に恥じない偉大な建造物なのですが、タージマハールを前日見てきた者の目には少し寂しく映りました。
ここを見終わった時点で時計の針は午後1時半を指しており、私はかなり空腹になっていました。しかし運転手に任せると、キックバックの支払われるレストランに連れて行かれるだろうと思い、ショッピングモールで昼食を摂りたいと言いました。お土産の紅茶もそこで買う予定ですし、運転手にとっては当てが外れたのかもしれません。やや不機嫌そうな運転手を不憫に思ったこともあり、100Rのチップを渡したところ、少しにこやかになりました。イオンの巨大店舗を少しお洒落にした感じのシティーウォークというショッピングモールに連れて行ってもらい、そこで午後1時50分から午後4時までフリータイムをもらいました。まずはカフェに入ってシシケバブ・セットの昼食(200R)。それからお菓子の店で 1 scoop のアイスクリーム(165R)を食べましたが、高級ショッピングモールらしく、日本と比べてもあまり割安感のない値段でした。その後店内を散策し、お土産のティーパックとインドのカー雑誌を買いました。我が家では諸外国のドラゴンボールのコミックを集めているため、そちらも探したのですが、見つかりませんでした。
その後、72.5mの赤い尖塔が立つクトゥブ・ミナールに行きましたが、ギリシャ遺跡を赤レンガで作り直したような、美しくも儚さを感じさせる場所でした。
空港にはフライトの3時間前である午後5時20分に到着し、チェックインと出国審査を済ませ、お菓子を買って残りのRを使い切り、プライオリティパスで入れるプラザ・プレミアム・ラウンジへと向かいました。ここでシャワーを浴び、チキンカレーやスープ、サラダなどを食べました。プライオリティパスのホームページには、アルコール飲料は有料と書かれていたのですが、周りの人がみな無料で飲んでいるようでしたので、私も赤ワインを頼みました。
その後、機内でも食事が出ましたが、炭水化物系を中心に少し残してしまいました。帰りは6時間ほどのフライトと短く、日本時間の朝7時前に到着する前に軽いサンドウィッチの朝食も出されたため、あまり眠れませんでした。成田から名古屋までは国内線に乗り継いで、セントレアに到着したのは午前10時40分でした。

正直なところ今回のインド旅行前はかなり用心していたのですが、今回の旅行で、今の自分なら気を抜かなければそれなりにインド人と渡り合えるという気持ちになりました。悪い人たちではないと思うのですが、ダメ元で強引にねじ込んでくることが多いので、そこで気後れしたら負けです。ただしこちらが怒ってしまったら喧嘩になるので、クールに断り続ける鉄の心が必要です。1回目の旅行で懲りたインドですが、また行ってみたいと思えるようになりました。
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新二

私は、セントレアより今年5月3日から4日間で、シゲタトラベルのジャイプール、アグラ1泊2日のバスツアーを考えていた折、貴殿の旅行記を読み大変参考になりました。
シゲタトラベルにて空港より送迎を頼み、ツアーに参加参するつもりでしたが、貴殿の情報により、パニッカーズトラベルを使用していることがわかり、私はツアーの出発場所のカロルバーグ地区のホテルを予約して空港より、ホテルの送迎を利用し、翌朝、歩いて、パニッカーズトラベルの出発場所まで行き参加したいと思います。
何か、パニッカーズトラベルのバスツアーで注意事項があればお教え下さい。
by 新二 (2012-02-12 11:45) 

毎留

注意事項ですか・・・。
そうですね、行きは早朝で帰りは夜遅いため、パニッカーズトラベルからホテルまでの道には十分注意してください。
周りのツアー客はインド人ばかりで、バスの車内は指定席でした。ガイドの顔を覚えて、絶対にその人に着いて行ってください。
私は一度、途中ではぐれてしまい、あせりましたw
by 毎留 (2012-02-13 19:12) 

新二

アドバイスありがとうございました。
やはり、夜道の一人歩きは、危険ですか!
でも、実際どのように注意して良いかわからないので、もう一度、安全な旅程を一から検討してみたいと思います。
ありがとうございました。
by 新二 (2012-02-14 17:56) 

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