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一番じゃなきゃダメです [雑談]

これは以前書いた、一番じゃなきゃダメですか?(http://ryokodo.blog.so-net.ne.jp/2011-02-10)の続編です。
先月発表されたTOP 500(http://ja.wikipedia.org/wiki/TOP500)で、日本のスパコンである京が世界一の座を獲得しました。予算をたくさん使い、アメリカ人労働者(サンマイクロシステムズ製コア)を548352人(個)かき集めて世界一の箱物(マザーコンピューター)を作りました。日本の技術力は世界一で大変誇らしいです、という文部科学省と理化学研究所主導のプロジェクトです。
ちなみに性能あたりのコストパフォーマンスは悪く、京でなければ動かせないソフトがあったわけではなく、文字通り世界一になること自体が目的のプロジェクトです。一応、天候や創薬のシミュレートに使うという建前はありますが・・・。創薬は「鍵と鍵穴」に例えられ、鍵穴(レセプター)に最も合致する鍵(薬)を開発するためには、立体異性体の三次元シミュレートなど膨大な計算が必要になります。それは分かるのですが、世界一のスパコンを様々な用途に使うのであれば、その半分の性能を持つスパコンを2台作ったほうがコストも安く、使い勝手も良いはずです。一番じゃなきゃダメな理由は何でしょう?
そう考えた時、ふとその用途を思いついたので、今回それを紹介したいと思います。それは自分で考えるスパコンです。

最初に、「考える」ことの定義づけをしたいと思いますが、それは「情報の結合と加工」です。
「学びて思わざれば即ち暗し、思いて学ばざれば即ち危うし」とは論語の言葉ですが、思う(考える)ためにはまず学ぶこと(元となる情報の取得)が必要になります。「一を聞いて十を知る」という言葉がありますが、これを行うためには「考える」能力が必須となります。では「一を聞いて十を知る」とはどういうことでしょう? これこそが正に「情報の結合と加工」なのです。
かつて某携帯電話の開発者が「100の機能を持つ携帯電話に101番目の機能をつけるには、従来の100の機能との整合性をすべて検証する必要がある」と言っていました。何だか大変そうな作業ですね。そしてそれを瞬時に行える頭脳の持ち主が、「一を聞いて十を知る」人なのです。厳密に言えば「101を聞いて110を知る」ということであり、101を聞いたときにそれまで持っていた100の知識とのすりあわせを行い、そこから規則性や類似性を見抜き、法則を見出し、それに当てはめることで110という数が存在すると閃く能力なのです。私はかつて2ちゃんねるでその能力を、10年前に新聞で読んだ「あ」という文字と今テレビで見た「ア」という文字から、「A」というアルファベットを思いつく能力、と表現したことがあります。あまり良い例えではありませんが、所詮人間のアイデアなどこれまでの経験で得た複数のデータを加工して得られたものに過ぎず、無から有を生み出したわけではありません。そしてそのような情報の結合と加工こそが「101を聞いて110を知る」ことです。しかしそれは、そのプロセスを知らない周りの人には「一を聞いて十を知る」という能力に見えてしまいます。

私はかつて、日本ルールのナポレオンというトランプゲームソフトを作ったことがあります。プレーヤーはナポレオン軍(ナポレオンと副官)と連合軍(その他)に分かれ、両軍で絵札を取り合うゲームですが、最初にナポレオン立候補者は自軍が何枚以上絵札を取るか宣誓し、その競りに勝った人がナポレオンになります。ナポレオンは副官カードを指定し、そのカードを持っている人が副官になりますが、最初は副官本人以外、誰が副官なのか分かりません。ちょっとした戦略性を持つゲームですが、私が作ったのはそれを5人でプレイし、プレーヤー以外の4人分の思考を人工知能(AI)に任せるというソフトです。
文章を書くことと人工知能プログラムを組むことは、自分の思考を明文化するという作業において同等であり、自分が普段どのような思考回路でナポレオンをプレイしているか気づけば、それをプログラム言語で文章化するだけなので、5日ほどで完成しました。具体的には各人がどのマークを切り札にすれば自分の手持ちカードの価値が最大限になるか計算し、その上で副官カードも含めて自軍の強さを評価し、何枚までならカードを取れるという期待値を求めます。その中で期待値の最も高かった人がナポレオンになるわけです。後は毎回、自軍と分かっている人がカードを取れるように協力するのですが、副官が誰か分かるまでは疑心暗鬼になりますし、副官は自らの立場を欺いて連合軍が優位になるように振舞うこともあります。これもそれらのパラメーターを数値化して、どう振舞うのが最終的な期待値が高いかで決めるだけです。学習機能をつけてそれらのパラメーターを変動させるようにすれば、ちょっとした学習機能付き人工知能のできあがりです(もっとも5日間のプログラムで学習機能まではつけられませんでしたが、あと10日あればある程度の幅でその機能をつけられると思います。面倒なのでやりませんが…)。ただし、これらはあくまでノイマン型コンピューターでの話であり、今回の話はこれよりも複雑になります。

以前にも書いたように、私は1989年、意識という高性能なメインCPUを無意識という無数の低機能なサブCPUが取り囲むことで最高のスパコンができると考えましたが、神経内科専門医としての知見を元にそれを訂正したいと思います。意識と無意識はその思考に費やすエネルギー量の差でしかなく、そこに明確な境界線はありません。人間の脳には意識というメインCPUは存在しないのです。
では現在の私が考えた、思考するスパコン(人工知能)とはどんなものなのかを説明しましょう。と言っても厳密には私が考えたものではなく、万物の創造主である神が考えたものです。私はその偉大な英知のごく一部を拝借しているにすぎません。
最初の前提として、デジタルとアナログの違いについて説明します。デジタルとは1,2,3,4という飛び値によって表現されたデータ情報であり、それが無数に集まることによってシームレスのアナログデータになります。パソコンはデジタルデータ、人間の脳はアナログデータを扱うのですが、もちろん後者のほうが遥かに高度な性能を要します。そしてパソコンと人間の間には埋めがたい溝があり、パソコンと人間がデータをやり取りするには、どちらかがもう片方に歩み寄る必要があります。かつてパソコンが低機能だったCP/MやMS-DOSの時代には、人間がコマンドを覚えてコンピューターの側に歩み寄る必要がありました。しかしウィンドウズの時代になり、パソコンの側がこれまでより遥かに膨大な処理をすることによって人間の感性に歩み寄り、誰でも気軽に使えるパソコンが生まれたのです。

脳梗塞という疾患があります。病態としては、脳の血管が詰まることによってそこから血流を受けていた脳細胞が死滅し、その機能が失われるというものです。しかし死滅する脳細胞の部位によって右片麻痺、左片麻痺、失語、半盲、半側空間無視、記憶障害、失調など様々な症状が現れ、医学を知らない人にはまったく別の疾患に見えることでしょう。万物の創造主である神が、なぜ人間の脳にこのような非汎用的な機能特異性を与えたのか、愚かな私には理解できませんが、それでもこれが一番良い方法なのだろうということは何となく理解できます。
そして人間の腱反射は、そのレベルの脊髄が傷害されれば低下しますが、それより上位の脊髄や脳が傷害されれば亢進します。
これらを元に、京を用いた人工知能について考えて行きたいと思います。
まず京が持つ548352個のCPUのうち約1割、5万個のCPUに単一概念にのみ反応する特異性を与えます。比較的頭の良い小学6年生の知っている語彙は1万個と聞いたことがあるので、 5万個あればさほど不足はないでしょう。
ここではそれらのうち、起動戦士ガンダムに出てくるシャア少佐に関する事項にのみ反応するCPUを、シャア専用CPUと名づけます。このシャア専用CPUは、「赤」「ザク」「3倍」「坊やだからさ」「アムロ」などシャアに関連した情報にのみ反応し、新しく入力される外部情報に対して自分が反応する機会を虎視眈々とうかがっています。この時、関連した情報(時にはアナログデータ)にCPUが反応するために、個々のCPUにはそれなりのパワーが要求されます。
シャアに関係する情報が入力されたときにシャア専用CPUは反応しますが、その際にシャアとの関連の濃さ(関連係数)を求め、それを上位CPU(人間の脳神経系に例えると上位中枢に当たり、下位中枢の興奮を抑制する系として作用)に送ります。上位CPUは、入力情報に対して同時に反応した他の概念専用CPUにもシャア専用CPUが反応したことを知らせますが、関連係数が高い場合は関連係数が低い他の専用CPUにも幅広く情報を送る反面、関連係数が低い場合は関連係数が高いごく少数の専用CPUにのみ情報を送ります。そしてそれらのCPU同士が行うやり取りの中で新しい知見が生まれなかった場合、シャア専用CPU全体の関連係数が低くなっていきます。これが人間の脳で言う「忘れる」という機能であり、これによってCPU間の情報のやり取りが無尽蔵に増えるのを抑制します。この機能がないと、てんかん発作(脳細胞の過剰な電気放電)というか、コンピューターの暴走に陥るリスクが高まります。そしてこの「関連係数が高く、他の多くの専用CPUに自分が反応したことを知らせる状態」が意識にのぼるという状態であり、「関連係数が低く、ごく少数のCPUにのみ情報を送る状態」が無意識なのです。
さて、ここで「新しいクレジットカードを考案する」という課題をこの人工知能スパコンに与えてみましょう。これに対して、シャア専用CPUは当然シャアをモチーフにしたカードを考案するわけですが、その際にシャアの絵柄、3倍、赤というキーワードを発します。これらのキーワードが他のCPUに送られることによって、クレジットカードのポイント専用CPUや3という数字専用CPUから高い反応があり、3倍の速度でポイントが貯まるというアイデアが生まれます。この時、このアイデアは関連係数の高い情報として数多くのCPUに流され、人工知能の「意識にのぼる」状態になります。こうして、シャア専用カードという新しいアイデアが生まれ、場合によってはシャア専用カードに対して専用のCPUが新たに割り振られます(ちなみにこのカードは実在しました)。
なお成人した人間の場合、五感に占める視覚情報処理の割合が8割を超えるそうです。ですから人工知能スパコンでも、視覚情報の解析(視覚中枢)に最も多くのCPUパワーが割かれることが予測されます。それらの五感専用CPUや情報伝達を抑制する上位CPU、アウトプット用の情報を加工するCPU(言語中枢)のことも考えた場合、単一概念にのみ反応する特異的CPUの数は全体の1割程度ではないかと予測しました。

以上が、京が世界一のスパコンの座を獲得したというニュースを聞いて、私が考えたことです。自分でも細部を煮詰められていない感はあるのですが、私にはこれが限界でした。
さて、ムーアの法則というものがあります。コンピューターの性能は1年半で倍増するというものであり、これに従えば15年でコンピューターの性能は1024倍に、そして20年で約1万倍になります。そうなると今から20年後の2031年には京の1万倍の性能を持つスパコンが生まれるでしょうし、その時には「2001年宇宙の旅」に出てきたHAL 9000のような、人間が言葉で説明すればチェスのルールを理解し、対戦するうちに人間よりも強くなるというスパコンが誕生しているかもしれませんね。

一番じゃなきゃダメですか?
実はこの地上で最も高性能なスパコンは人間の頭脳ですが、神が創ったその最高傑作の片鱗を真似るなら、人間が作った中で一番のスパコンじゃなきゃダメです。しかし逆にそれ以外の用途なら、世界一じゃなくても良い気がします。
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南米にいけ
by お名前(必須) (2017-01-21 20:17) 

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